サウンドホール

ギターが創造する旋律の調べ
そして、その音源を力強く生み出す
サウンドホール
その中は異なる奏法がもたらす
目には見えない周波数の波形が
その振幅と重なり合い共鳴する

ひとつの音は打ち消され
全体としての進行を優先する
そこに要求される特性は
リズムの規則性とアクセントの正確性
そのメロディーは統率しリードする
Stroke

ひとつの音が途切れることなく
複数の音が余韻を残して響きあう
それは高い位置から深く沈みつつ
低い位置から緩やかに上ってゆく
そのメロディーは音階を支配する
Arpeggio

ひとつの音が互いに交差し
結びついた綾となり紡ぎだす
ある時は軽快にリズムを刻み
ある時は重奏な調べを刻む
そのメロディーは伴奏を務める
Finger picking

ひとつの音が全体の合奏を凌駕し
自由に 高らかに 限りなく
個性を浮き彫りにする
孤独を 痛みを 希望をこめて
そのメロディーは独り歌いあげる
Solo

ひとつひとつの奏法が
限られた時のなかで
自らの表現を展開する
音の創造という神秘的な営み
サウンドホール
そこは生命の創造にも通じる空間となる

いくつもの重なる波が交差する 五線に描く音源の海