学生の頃、ゾロ目の時刻をよく見た時期があった。
当時は液晶のデジタル時計などなく、数字が刻印されたプレートが順次回転するタイプであったが、その時計に目をやるたびに11:11、1:11、3:33、4:44などの時刻が目に入った。不思議なことは、ゾロ目以外の時刻には時計に目をやることがなかった、と思えることだ。それが半年から一年近くも続いたろうか。やがて、そうした異常な体験はなくなった。
確率的に考えると、ゾロ目になる確率があり、こうした事象を連続して見ることは、単に独立した事象の総和になるのか、もしくは何かの条件を考慮して計算しなければならないのか。いずれ計算してみたいと思うが、非常に低い確率で常識外の出来事を体験した気がする。
当時は神経が過敏で、病的になっていたのかもしれないが、恐怖感はなく、ただ大きな苦痛を味わった時期だった。しかし、精神の錬磨にはなったのだろう。
自分は何とつながっていたのか、何のためにこのような体験を強いたのか。
人には身近なところに人知を超えた何かがいて、人を試したり、見極めたりして、その人の運命をつかさどる役割を担っているのかもしれない
哀しみと痛みの夜に刻まれた ひとつの愛を告げるシグナル