和歌

「和歌(わか)」。日本の歌。和はやまとの意で、中国の詩歌である漢詩に対する、我が国の詩歌という意識にもとづき、主に平安期以降広く浸透した語。「倭歌」とも表記する。『万葉集』では、「和歌」の表記は「こたふる歌」の意を表す例に限られる。史上初の勅撰による『古今集』は、書名に「和歌」の語を持つが、入集歌の殆どが五七五七七(三一字)の歌で、長歌や旋頭歌も収めるが稀少である。近代以前の日本の詩歌を見渡すならば、他にも非定型の歌謡や、句を詠み継ぐ連歌、五七五の発句などもある。だが「和歌」と称されるのは概ね三一字の歌体で、この定型歌が長く我が国の詩歌の主流をなした。和歌は基本的に漢語の使用は避けて和語で詠むものであり、俗語の使用も抑制するなど、詠作の用語には一定の規範意識があった。(以下略)

 『和歌文学大辞典』  (株)古典ライブラリー  平成二十六年十二月